平成18年,人口動態調査  1,死因分類の解説 1〕沿革   我が国の死因分類の歴史は長く、明治8年(1875年)には、解剖学的な11項目の分類である日本最  初の死因分類が制定されている。国際的には、明治26年(1893年)に国際統計協会の会議で採択さ  れた国際死因リストについて、明治33年(1900年)に国際死因リストの修正に関する第1回国際会議  が開催され、ここで第1回修正国際疾病分類(ICD)が採択されて10年周期の修正が望ましいことが  確認された。我が国は同年、この第1回修正のICDを採用し、以来、日本の死因統計について国際的  な分類を尊重しながら適切な適用に努めてきている。   戸籍法の制定により人口動態統計が整備された明治32年以降の死因分類の推移を示すと、次表の  とおりである。   現在我が国が適用している死因分類は、平成2年(1990年)に開催された世界保健機構(以下[WH  O」という。)の第43回世界保健総会において採択され、平成5年(1993年)からの使用を加盟各国に  勧告された「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10回修正」(ICD-10)に準拠した、「疾病、傷  害及び死因の統計基本分類表」(以下「日本分類」という。)及び日本分類を集約した「死因分類表」  (平成6年10月12日総務庁告示第57号)であり、これを平成7年(1995年)から使用している。 2〕「原死因」と死因の選択   死因統計は死亡診断書に基づき作成するが、死亡に関与した全ての事項が死亡診断書に記載  されるように、昭和42年(1967年)の第20回世界保健総会において、死亡診断書に記載する死因は  「死亡を引き起こしたか、その一因となった全ての疾病、病態または損傷、及びこれらの損傷を引  き起こした事故または暴力の状況」と定義された。これに先立ち昭和23年(1948年)の第6回修正  会議においては、一次製表のための死因は原死因とするべきであるということが合意されている。   WHOは、「死亡の防止という観点からは、病的事象の連鎖をある時点で切るか、ある時点で疾  病を治すことが重要である。また、最も効果的な公衆衛生の目的は、その活動によって原因を防止  することである。」として、この目的のために原死因を次のように定義した。        @ 直接に死亡を引き起こした一連の事象の起因となった疾病若しくは損傷。        A 致命傷を負わせた事故若しくは暴力の状況。  また、原死因を選択するために、WHOは死亡診断書の国際様式及び原死因選択手順を定め加盟各  国に勧告しており、我が国もこれを基本としている。   原死因選択手順には原死因選択のための複雑なルールが規定されているが、我が国は医師の作成  した一枚一枚の死亡診断書の記載状況に従ってこの原死因選択手順を適用して、最終的に統計とし  て表章する原死因を選択し決定している。   死亡診断書の様式においては、死亡の原因を記載する欄がT欄とU欄に分かれており、T欄には  直接死因のみならず、その原因となった一連の病態についても記載し、U欄には、死亡に寄与した  その他の重要な病態を記載することとなっている。   死亡診断書に死因となる傷病名が一つだけ記載されている場合には、その傷病名の属する分類が  原死因となりうるが、同じ傷病名が記載されていても年齢や性別、先天性か否かなど多くの条件や  手術・解剖欄などの記載状況によって属する分類が変化するため、死亡診断書全体の記載状況を把  握して原死因を決定する。   死亡診断書に二つ以上の傷病名が記載されている場合には、統計表章のためただ一つの原死因を  選択しなければならない。死亡診断書のT欄の一番上に直接死因の傷病名が記載され、その下欄に  原因となった傷病名が因果関係の順番に正しく記載されている場合は、T欄の最下欄に記載された  疾病または損傷の属する分類が原死因と考えられる。しかし死亡の状況は死亡者によって異なるた  め、診断書の記載状況は多様であり、原死因の選択にあたっては、傷病名の組み合わせ、記載され  た位置や欄、合併症や手術・解剖の記載及び死亡の場所や死亡の状況等の全ての記載事項を確認し  た上で、それぞれの状況に該当する原死因選択手順を判断・適用し、最終的な原死因を決定している。   WHOは、周産期死亡についても用語の定義、死亡診断書の様式、原死因選択基準を定めるほか、  児側病態・母側病態の主要な疾病または病態の解析のためのクロス表の作成を勧告しており、我が  国はWHOの勧告する周産期死亡診断書の様式は採用していないものの、この様式に盛り込まれた項目  の多くを死亡診断書及び死産証書の様式に加えることにより、勧告されたクロス表を作成している。  死産の原因については、ICD-10採用時から児側病態と母側病態を一体としてとらえて原死因を選択す  ることとした。また、児側病態、母側病態からそれぞれ原死因を選び両者のクロス表を作成している。   原死因の選択及び死因分類等の詳細については、「疾病、傷害および死因統計分類提要ICD-10準  拠」の第1巻、第2巻を参照されたい。 ,国際疾病傷害死因分類の推移 ,国際疾病、死因,   所    轄    機    関,,我が国の適用対象となった年次 ,分類修正国際会議,  国     際,   日     本, ,第1回 1900年,国際統計協会,内閣統計局,明治32年〜   41年 ,,,,(1899年〜1908年) ,  2   1909,国際統計協会,内閣統計局,明治42年〜大正11年 ,,,,(1909年〜1922年) ,  3   1920,国際統計協会,内閣統計局,大正12年〜昭和 7年 ,,,,(1923年〜1932年) ,  4   1929,国際統計協会,内閣統計局,昭和 8年〜   18年 ,,国 際 連 盟,,(1933年〜1943年) ,  5   1938,国際統計協会,厚生省予防局衛生,昭和21年〜   24年 ,,国 際 連 盟,統計部,(1946年〜1949年) ,  6   1948,世界保健機関,厚生省統計調査部,昭和25年〜   32年 ,,(WHO),,(1950年〜1957年) ,  7   1955,世界保健機関,厚生省統計調査部,昭和33年〜   42年 ,,(WHO),,(1958年〜1967年) ,  8   1965,世界保健機関,厚生省統計調査部,昭和43年〜   53年 ,,(WHO),,(1968年〜1978年) ,  9   1975,世界保健機関,厚生省統計情報部,昭和54年〜平成 6年 ,,(WHO),,(1979年〜1994年) ,  10   1989,世界保健機関,厚生省統計情報部,平成 7年〜      ,,(WHO),, (1995年〜