事例紹介

特別定額給付金が家計消費に与える影響に関する研究

利活用の概要

『マネーフォワード ME』のユーザーデータを用いて、特別定額給付金が家計消費に与えた影響を分析した。

利活用の効果

分析結果から以下の傾向を捉えた。

給付金が支給された週から数週間にわたり消費が増加した。また定義によるが、給付金のうち6%〜27%が消費として利用された。

労働所得の低い家計、また銀行預金などの流動資産を十分に保有していない家計は、他の家計に比べより多くの給付金を消費として利用した。

「食費と生活必需品」や「対面を伴うサービス」への支出は給付金支給後早い段階で反応がある一方、「耐久財」や「住宅ローン・家賃・保険などへの支払い」による支出は長期にわたり反応があるなど、カテゴリーごとに消費が大きく異なった。

上記結果をまとめて、The Centre for Economic Policy Research(CEPR)の発行する媒体に投稿し掲載された。

利活用したデータの詳細

  • キャッシュレスデータ
  • その他

利活用の詳細

<利活用のきっかけ>

2020年に日本政府は、新型コロナウイルス感染症による経済的影響に対する緊急対策として、国民全員に1人当たり10万円の特別定額給付金を一律支給した。給付金は、世帯主が各自治体に対して申請を行い、原則として申請者の銀行口座に支払われる形で実施された。

この給付金支給は、自治体ごとの手続き時期や個人の申請タイミングにより、家計への支給日が2020年5月から8月の間で大きく異なった。これにより、ある時点で見ると「すでに給付金を受け取った家計」と「まだ受け取っていない家計」に分かれるという自然実験が行なわれた状況が生じた。本研究では、両者の差を比較することにより、給付金支給時点の近辺の景気状況や新型コロナウイルス感染の拡大などマクロ的要因を取り除き、正確な政策効果の測定が可能になった。

また、海外にもこうした国民に対する給付金支給を実施した例はあったが、多くの国では国民全員に対して一律に支給するのではなく所得制限を設けているため、日本のように同じ条件のもとで様々なグループに対して分析を行える研究は貴重な機会となった。

さらに、日本でも政府や金融機関の家計調査などにもとづいた研究はあるものの、マネーフォワード社が提供するお金の見える化サービス『マネーフォワード ME』のデータは、給付金や支出の種類の特定が可能であり、収支および資産の情報が自動的に集約されることから、より正確なデータにもとづき、精度の高い研究成果を得ることができた。

このような給付に対する消費支出の反応は、今後の財政政策や金融政策に関する研究を進める上で重要な指標であり、政策・学問の両面での貢献を目指し、本研究を実施した。

 

<実施した分析>

分析方法:

特別定額給付金の支給を受けたと考えられるユーザーデータを用いて家計消費に与える影響を分析。ユーザーデータは日次のトランザクションデータを収集し、週単位のデータとして集計。

連携機関:早稲田大学、クイーンズランド大学

費用:なし

 

<分析の結果>

分析結果から以下の傾向を捉えた。

給付金が支給された週から数週間にわたり消費が増加した。また定義によるが、給付金のうち6%〜27%が消費として利用された。

労働所得の低い家計、また銀行預金などの流動資産を十分に保有していない家計は、他の家計に比べより多くの給付金を消費として利用した。

「食費と生活必需品」や「対面を伴うサービス」への支出は給付金支給後早い段階で反応がある一方、「耐久財」や「住宅ローン・家賃・保険などへの支払い」による支出は長期にわたり反応があるなど、カテゴリーごとに消費が大きく異なった。

 

<新たな事業・施策>

The Centre for Economic Policy Research(CEPR)の発行する媒体に投稿し掲載された。

お問い合わせ先・関連リンク

株式会社マネーフォワード プレスリリース(2021-04-14) 「特別定額給付金が家計消費に与える影響に関する研究論文を発表」

https://corp.moneyforward.com/news/release/corp/20210414-mf-press-3/
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