管理番号:40020020200013

府省:総務省

提供状況

2020-09-03 匿名データの提供を受けた者の氏名又は名称 下山 朗
村田 治
匿名データの提供を受けた者(個人に限る。)の職業、所属その他の当該者に関する事項 大阪経済大学 経済学部 教授
関西学院大学 経済学研究科 教授
提供した匿名データに係る統計調査の名称 就業構造基本調査
匿名データの利用目的 就業構造基本調査の匿名データを用いて「大学(大学院)教育と労働生産性の関係-賃金関数と内部収益率を用いた人的資本理論とシグナリング理論の実証分析-」を実施し、大学卒の労働者の産業別内部収益率および高卒等の労働者の産業別内部収益率について推計を行う。同時に、賃金関数の推計により、大学教育や大学院教育が労働生産性を上げているのかどうかを、人的資本論とシグナリング理論を区別するP-テストによって検証する。
備考

001
2020-09-03
匿名データの提供を受けた者の氏名又は名称 下山 朗
村田 治
匿名データの提供を受けた者(個人に限る。)の職業、所属その他の当該者に関する事項 大阪経済大学 経済学部 教授
関西学院大学 経済学研究科 教授
提供した匿名データに係る統計調査の名称 就業構造基本調査
匿名データの利用目的 就業構造基本調査の匿名データを用いて「大学(大学院)教育と労働生産性の関係-賃金関数と内部収益率を用いた人的資本理論とシグナリング理論の実証分析-」を実施し、大学卒の労働者の産業別内部収益率および高卒等の労働者の産業別内部収益率について推計を行う。同時に、賃金関数の推計により、大学教育や大学院教育が労働生産性を上げているのかどうかを、人的資本論とシグナリング理論を区別するP-テストによって検証する。
備考 2021/4/15【所属変更】
変更前:下山 朗(奈良県立大学 地域創造学部 教授)
変更後:下山 朗(大阪経済大学 経済学部 教授)

統計若しくは統計的研究の成果又はその概要等

匿名データの提供を受けた者の氏名又は名称 下山 朗
村田 治
提供した匿名データに係る統計調査の名称 就業構造基本調査
統計又は統計的研究の成果等のタイトル等 わが国におけるスクリーニング仮説の検証
作成した統計若しくは行った統計的研究の成果又はその概要 本稿では、Psacharopoulos(1979)、およびWolpin(1977)の手法を用いて、わが国の高等教育、特に大学教育に関してスクリーニング仮説が成立しているかどうか、逆に言うと、人的資本理論が成立しているかどうかを検証した。
 Psacharopoulos(1979)にしたがって、教育水準の上昇にともなう競争部門と非競争部門の中堅給与‐初任給比率の推移を比較した。その結果、unscreened(非競争部門)労働者として公共部門を対象とした場合、教育水準の上昇とともに競争部門の中堅給与‐初任給比率の方が大きくなっておりスクリーニング仮説が成立していないことが示された。
 他方、Wolpin(1977)に倣ってunscreened労働者として自営業者を選んだ場合、自営業者の中堅給与‐初任給比率の方が大きくなりCohn Kiker and DeOliveira(1987)の仮説にしたがうなら、わが国においてスクリーニング仮説が成立している可能性もある。しかしながら、公共部門を除いて、教育水準が上がるにつれて中堅給与‐初任給比率は上昇しており、Cohn Kiker and DeOliveira(1987)の仮説を考慮するならスクリーニング仮説は成立していないことになる。
 次に、競争部門と非競争部門のMincer 型賃金関数の推計結果からは、競争部門における教育年数の係数は非競争部門の約2 倍の大きさであることが明らかとなり、競争部門では教育が賃金水準の決定に有意に働いており、スクリーニング仮説ではなく人的資本理論が成立していると考えられる。また、学歴別でのMincer 型賃金関数の推計結果から、就職時にはweakversion of screening hypothesis が成立しているが、就業年数の経過にしたがって大学卒業者と高校卒業者の賃金プロファイルの差が大きくなっていくことが示され、教育水準が生産性にプラスの効果があることが明らかとなり人的資本理論が成立していると判断できる。同様の結果は、大学院修了者についても当てはまることが示された。
 以上の分析を総合すると、わが国の大学教育に関してはスクリーニング仮説が成立しているとは言えず、むしろ、人的資本理論が成立していると考えられる結果が導かれた。
上記統計の作成又は統計的研究を行うに当たって利用した調査票情報に係る統計調査の名称、年次、当該調査票情報の地域の範囲その他の当該調査票情報を特定するために必要な事項 就業構造基本調査 平成9年、14年、19年
上記統計の作成の方法又は統計的研究の方法を確認するために特に必要と認める事項 大学教育が賃金所得や生涯賃金にプラスの影響を持っている理由を、人的資本理論(human capital theory)とスクリーニング仮説(screening hypothesis)、シグナリング理論(signaling theory)に分類し、就業年数、就学年数等のデータと学歴別の所得の関係についてMincer 型賃金関数を重回帰分析により推計して分析を行った。
学術雑誌等の名称及び掲載年月日 「わが国におけるスクリーニング仮説の検証」『経済学論究』(関西学院大学)第75巻第3号 pp.1-25. 2021年12月

成果等

わが国におけるスクリーニング仮説の検証