管理番号:10020020190013

府省:総務省

提供状況

2019-09-05 調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 余田 翔平
斉藤 知洋
胡中 孟徳
岩澤 美帆
調査票情報の提供を受けた者(個人に限る。)の職業、所属その他の当該者に関する事項 国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部 第2室長
立教大学コミュニティ福祉学部
東京大学社会科学研究所 附属社会調査・データアーカイブ 研究センター 特任研究員
国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部 部長
提供した調査票情報に係る統計調査の名称 国勢調査
社会生活基本調査
調査票情報の利用目的 文部科学省科学研究費助成事業『ワークフェア改革の帰結:日英のシングルマザーの生活時間から』の一環として、ワークウェア改革がシングルマザーのwell-beingに及ぼした影響を分析するため。
備考 旧管理番号:11119013
2020/9/3【所属等変更】
変更前:斉藤 知洋(立教大学コミュニティ福祉学部)
変更後:斉藤 知洋(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障基礎理論研究部研究員)

統計若しくは統計的研究の成果又はその概要等

調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 余田 翔平
斉藤 知洋
胡中 孟徳
岩澤 美帆
提供した調査票情報に係る統計調査の名称 国勢調査
社会生活基本調査
統計又は統計的研究の成果等のタイトル等 ①「ひとり親世帯の居住形態の趨勢と地域性 ―『国勢調査』個票データを用いた分析―」
②「ひとり親世帯の生活時間:構造と趨勢―『社会生活基本調査』個票データを用いた分析―」
提出された統計若しくは統計的研究の成果又はその概要 ①国勢調査の個票データを用いて、ひとり親世帯の量的趨勢および居住形態について、地域性にも言及しつつ基礎資料を提供することを目的とする。
 分析の結果、以下の点が明らかになった−−(1)1980年から2010年までの30年間、有子世帯に占めるひとり親世帯の割合は拡大傾向にあり、その増分は母子世帯の量的拡大によってもたらされている。(2)北海道・東北・四国・九州において、ひとり親世帯の割合が高い。(3)ひとり親世帯の中では多世代同居世帯の割合は安定的であり、2010年時点では母子世帯のほうが二人親世帯よりも多世代同居世帯の割合が高い。また、父子世帯の多世代同居割合は時代を通じて、二人親世帯や母子世帯よりも高い。(4)多世代同居ひとり親世帯の地域分布は、東北型/西南型の家族類型の分布と概ね一致している。すなわち、ひとり親世帯に占める多世代同居世帯の割合は、東北地方で高く西南地方で低い。しかしながら、それはひとり親世帯特有の傾向ではなく、有子世帯全体に観察される多世代同居の地域性を反映しているに過ぎない。

②社会生活基本調査の個票データを用いて、ひとり親世帯の生活時間の記述し、その特徴と趨勢を明らかにした。
 分析結果は以下の3点に要約できる。第1に、シングルマザーは有配偶男性ほどは有償労働に時間を割かず、家事・育児・介護等に割り当てる時間は有配偶女性よりも短い。第2に、シングルファザーは、有配偶男性と比較して、有償労働・家庭内労働ともにより多くの時間を割いている。その結果、総労働時間はシングルマザーや有配偶女性と同程度の水準に達する。第3に、母子世帯内部の異質性に着目すると、シングルマザーの学歴による生活時間の差異が部分的に確認された。具体的には、1996年以降、中学・高校層のシングルマザーと短大以上層のシングルマザーとの間で有償労働時間の格差が顕在化しつつある。
上記統計の作成又は統計的研究を行うに当たって利用した調査票情報に係る統計調査の名称、年次、当該調査票情報の地域の範囲その他の当該調査票情報を特定するために必要な事項 ①(調査名) 国勢調査
(年次)  1980,1990,2000,2010
(地域)  全国および都道府県別
(統計的研究に利用した調査票情報)
世帯主との続き柄、出生の年月、男女の別、配偶の関係、世帯の種類、世帯員の数

②(調査名) 社会生活基本調査
(年次)  1991,1996,2001,2006,2011,2016
(地域)  全国
(統計的研究に利用した調査票情報)
男女の別、世帯主との続き柄、出生の年月、配偶関係、在学・卒業等教育の状況、世帯の家族類型、曜日、行動の種類、行動の種類ごとの時間、時間帯
上記統計の作成の方法又は統計的研究の方法を確認するために特に必要と認める事項 ①国勢調査の各世帯員の出生の年月・男女の別・配偶の関係・世帯主との続柄を用いて、6つの世帯類型(独立二人親世帯、同居二人親世帯、独立母子世帯、同居母子世帯、独立父子世帯、同居父子世帯)を作成し、以下の指標を全国および都道府県別に算出した。

(1)有子世帯に占めるひとり親世帯の割合
(2)世帯類型別に見た、多世代同居世帯の占める割合
(3)二人親世帯・母子世帯・父子世帯の多世代同居世帯割合の相関係数

各指標は以下のように算出した。
(1)上記6つの世帯類型全体を分母とし、ひとり親世帯4類型(独立母子世帯、同居母子世帯、独立父子世帯、同居父子世帯)が占める割合
(2)同居世帯数/(独立世帯数+同居世帯数)
(3)都道府県別に得られた(2)を観測値の単位とし、相関係数を算出

②分析対象となる世帯を末子年齢が20歳未満の「夫婦と子供の世帯」・「母子世帯」「父子世帯」に限定した。これらの世帯に属する世帯員から、生活時間の比較の対象として有配偶男性・有配偶女性・シングルマザー・シングルファザーを抽出した。こうした分析対象の選定にあたって用いた項目は、男女の別、世帯主との続き柄、出生の年月、配偶関係、世帯類型、である。

行動の種類を用いて、生活行動を有償労働、家庭内労働、余暇、睡眠の4領域に分類した。一週間を通じた平均的な生活時間パターンを探るために平日(月曜日から金曜日)のレコードには5/7、週末(土曜日および日曜日)のレコードには2/7のウェイトを施し、これらのウェイトを用いて1日あたりの行動時間(分)の加重平均を算出した。

これらの平均行動時間を有配偶男性/有配偶女性/シングルマザー/シングルファザー、の4グループ別に集計したのち、母子世帯内部の生活時間の格差を探るため、在学・卒業等教育の状況を用いて、有配偶女性とシングルマザーを学歴によってそれぞれ分類し、上記と同様の方法で平均行動時間を算出・比較した。
学術雑誌等の名称及び掲載年月日

成果等

ひとり親世帯の居住形態の趨勢と地域性―『国勢調査』個票データを用いた分析― 別添_IPSS_WP57.pdf(3.8 MB)
ひとり親世帯の生活時間:構造と趨勢―『社会生活基本調査』個票データを用いた分析― 別添_IPSS_WPJ34.pdf(899.2 KB)