管理番号:10020020252018
府省:総務省
提供状況
| 2025-06-10 | 調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 |
岸田 研作 |
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| 調査票情報の提供を受けた者(個人に限る。)の職業、所属その他の当該者に関する事項 |
大学教員、岡山大学、教授 |
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| 提供した調査票情報に係る統計調査の名称 |
就業構造基本調査 社会生活基本調査 |
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| 調査票情報の利用目的 | 未婚率の上昇とともに親と同居する未婚の子が介護を担うケースが増えている。未婚の子が介護のため離職すると、世帯が貧困に陥るだ けでなく、無業の子が将来的にも窮乏することが懸念される。本研 究の目的は、要介護の親と未婚の子の同居世帯の経済状態、親の介護が未婚の子の就業 状態に与える影響を明らかにすることである。それにより世帯形態の変容に対応した介護と仕事の両立策や経済支援策の開発の促進が期待できる。 | |
| 備考 |
統計若しくは統計的研究の成果又はその概要等
| 調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 |
岸田 研作 |
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| 提供した調査票情報に係る統計調査の名称 |
就業構造基本調査 社会生活基本調査 |
| 統計又は統計的研究の成果等のタイトル等 | 親の介護が未婚の子とその世帯に及ぼす影響 |
| 提出された統計若しくは統計的研究の成果又はその概要 |
基盤研究C「親の介護が未婚の子とその世帯に及ぼす影響」の一環として,以下の2つの研究を行った。 ①介護離職の社会的損失 -アップデートと時系列推移- 岸田(2020)は、家族介護を理由に失業した労働力離脱者数と、その所得損失を推計した。本研究では、岸田(2020)の結果を更新するとともに、所得損失の推計方法を修正した。労働力離脱者は、離職後2年時点でも就業していない者と定義した。2022年の最新の就業構造基本調査を用いた結果は以下の通りである。 年間10万6千人の介護離職者のうち、35.9%が再就職し、残りの64.1%が労働市場から退出していた。再就職した者の約4分の3は非正規雇用であった。もともと正規雇用であった介護離職者のうち労働市場に復帰した者では、34.4%が正規雇用として再就職し、残りは非正規雇用として再就職していた。離職者全体に占める介護離職者の割合は3.8%であった。また、40〜50歳代女性の離職者のうち1割以上が介護離職者であった。したがって、介護離職による中高年の就業喪失は重要な問題である。 所得損失を計算するには、介護離職者の離職前賃金が不可欠である。しかし、本研究で用いたデータにはその情報が含まれていなかったため、代理変数として、介護離職者と類似した属性を持つ労働者の賃金を用いた。さらに、所得損失の計算においては、再就職によって得られる所得も考慮した。 介護離職後1年間における総所得損失は1,874億円であった。この所得損失を、失業による損失と、以前より低い賃金の職に就くことによる損失に分解したところ、前者が77.1%、後者が22.9%であった。賃金低下による所得損失の約70%は、離職前がフルタイム雇用であった者によるものであり、そのうち86.3%は大幅に賃金の低い非フルタイム雇用として再就職したことによるものであった。離職期間が1年を超える場合、社会全体の所得損失は、離職期間ごとの各年の損失の合計となる。本研究の計算によれば、年間の所得損失は少なくとも4,032億円であった。 労働市場から退出した人数は、2012年に74,400人、2017年に63,700人、2022年に68,100人であった。失業率が高かった2012年には、2017年や2022年に比べて再就職率が低く、労働市場からの退出者数は相対的に多かった。所得損失は、2012年に3,821億円、2017年に3,639億円、2022年に3,992億円であった。所得損失の原因別内訳はおおむね同様であった。 ②家族介護者の数と推移 本研究は、『社会生活基本調査』(総務省)を用いて、1991年から2021年までの約30年間における家族介護者の数および介護時間の推移を明らかにし、家族介護の実態とその変化を分析することを目的とする。高齢化の進展に伴い介護需要が増大するなか、家族介護の供給や負担の長期的変化に着目した点に特徴がある。 分析の結果、家族介護者数は1991年の356.5万人から2016年には698.7万人まで増加し、その後2021年には653.4万人へと減少した。この減少には新型コロナウイルス感染症の影響が関与している可能性がある。また、介護者の高齢化が進み、65歳以上の割合は1991年の16.6%から2021年には36.4%へと上昇した。特に50~60歳代において介護者の割合が大きく増加している。 一方、介護者1人当たりの介護時間(週平均)は、45歳以上で長期的に減少した。特に65歳以上では2021年の介護時間は1991年の約4割となっている。この減少は主として介護を行った人の割合(行動者率)の低下によるものであり、結果として総介護時間の増加は限定的であった。1991年から2021年にかけて、家族介護者数が大きく増加したのに対し、総介護時間は約1.13倍の増加にとどまった。 さらに、介護の担い手の構成にも変化がみられる。男性介護者の割合は上昇し、総介護時間に占める男性の割合も1991年の15.8%から2021年には29.7%へと拡大した。一方で、女性の方が依然として介護時間は長いものの、その男女差は縮小傾向にある。 また、自宅外介護の比率は上昇しており、別居介護に伴う移動時間も重要な負担である。50歳代の正社員を対象とした推計では、介護実施日における移動時間は男性で約35.7分、女性で約11.2分増加していた。これは従来の介護時間指標が介護負担を過小評価している可能性を示している。 以上より、家族介護は担い手の高齢化と分散化が進む一方で、個々の介護時間は減少していることが明らかとなった。今後は介護時間減少の要因や健康影響、移動時間を含めた負担評価の精緻化が求められる。 |
| 上記統計の作成又は統計的研究を行うに当たって利用した調査票情報に係る統計調査の名称、年次、当該調査票情報の地域の範囲その他の当該調査票情報を特定するために必要な事項 | 「介護離職の社会的損失 -アップデートと時系列推移-」では,総務省が実施する「就業構造基本調査」の調査票情報(個票データ)を用いた。対象は,平成24年,29年,令和4年である。 「家族介護者の数と介護時間の推移」では,総務省が実施する「社会生活基本調査」の調査票情報(個票データ)を用いた。対象は,平成3年、8年、13年、18年、23年、28年、令和3年である。 |
| 上記統計の作成の方法又は統計的研究の方法を確認するために特に必要と認める事項 | 「介護離職の社会的損失 -アップデートと時系列推移-」 調査時点から過去2年以内に介護離職した経験がある者を対象に生存解析の手法を適用することで,就業再開率を推定した。就業再開率は,離職してから2年後の時点で就業を再開している者の割合である。1から就業再開率を引いた値を労働市場からの退出率とした。年間の介護離職者数に退出率を乗じたものを,労働市場から退出した介護離職者として推計した。さらに,マッチング法を用いて,介護離職経験者と属性が近い介護有業者の所得を介護離職者の離職前所得として推計した。年間の介護離職者数に退出率と離職前所得を乗じることで,介護離職による社会全体の所得損失を求めた。以上の分析は,調査年毎に行った。 「家族介護者の数と介護時間の推移」 性・年齢階級別に,以下の項目について,時系列推移を求めた。各項目は,標本抽出倍率を用いて社会全体の値を求めている。項目は,家族介護者の数,行動者率,介護時間(行動者平均)。また,これらの項目を乗じることで社会全体の家族介護者の介護時間の推移も求めた。さらに,自宅介護者と自宅外介護者の移動時間の差をt検定で比較した。 |
| 学術雑誌等の名称及び掲載年月日 |
成果等
「介護離職の社会的損失 -アップデートと時系列推移-」『岡山大学経済学会雑誌』第57巻2号
家族介護者の数と介護時間の推移『岡山大学経済学会雑誌』第57巻2号
| 「介護離職の社会的損失 -アップデートと時系列推移-」『岡山大学経済学会雑誌』第57巻2号 | oer_057_2_001_016.pdf(1.8 MB) |
| 家族介護者の数と介護時間の推移『岡山大学経済学会雑誌』第57巻2号 | oer_057_2_081_092.pdf(1.4 MB) |