管理番号:10020020252152
府省:総務省
提供状況
| 2026-04-08 | 調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 |
風神 佐知子 |
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| 調査票情報の提供を受けた者(個人に限る。)の職業、所属その他の当該者に関する事項 |
慶應義塾大学 商学部 教授 |
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| 提供した調査票情報に係る統計調査の名称 |
就業構造基本調査 |
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| 調査票情報の利用目的 | 日本における地域労働市場の独占度を、就業構造基本調査を用いて精緻に解明する。日本のデータを使った実証分析は乏しい。申請者は民間データを用いて推計したが精度に限界がある。これを克服し、現在主流な独占度の測定方法である離職弾力性を正確に推計する。先行する申請者の学会報告等の知見を基礎とし、さらに、賃金形成メカニズムまで分析を拡張・発展させる。賃金形成や労働政策の立案に資する客観的エビデンスを構築する。 日本の労働市場において、賃金停滞や労働移動の硬直化は喫緊の政策課題である。これらの背景には、地域ごとの『労働市場の独占度(企業の買い手独占、労働者の就業選択肢の量や質により発生)』が強く影響している可能性があるが、日本におけるその実態解明は未だ不十分である。適切な賃金形成や労働政策の立案には、地域ごとの市場構造を精緻に把握することが不可欠であり、公的統計のミクロデータを用いた客観的なエビデンスの構築が強く求められている。 本研究はこうした社会的要請に応え、離職弾力性を指標とした市場構造の検証を行う。申請者は民間データ(リクルートワークス研究所の全国就業実態パネル調査)を用いて推計を行ったところ、離職率の高い小規模企業において予測に反し高い離職弾力性、つまり小規模企業においても独占力が働いていることが明らかになった。この研究はSouthern Economic Association 95th Annual Meetingでの報告や学術誌への投稿(査読中)に至っている。しかし、民間データには離職時期が回答者の回顧に依存するという特性上、推計値にバイアスが生じる懸念を拭いきれない。そこで、調査時点で離職・就業時期を直接把握している「就業構造基本調査」のミクロデータを利用し、推計の精度と頑健性を飛躍的に高める必要がある。その上で、本調査研究では、解明された独占力が実際の賃金水準にどのような歪みをもたらしているかまで分析を拡大する。 こうした分析の射程を踏まえ、本研究では科研費の主眼である柔軟な働き方の影響についても検証を行う。在宅勤務等の普及が地域労働市場の独占度を緩和させる可能性については、申請者の民間データによる分析においては、テレワーク普及による独占力緩和の明確な証拠は得られていない。しかし、これは日本における完全リモートワークの普及途上という背景に加え、比較対象となる『ベースラインとしての日本の地域労働市場独占度』そのものが精緻に推計されていないことに起因する可能性がある。したがって、将来的な国際比較や、政策介入(移住促進プログラム等)の効果検証を行う前段階として、公的統計を用いた日本独自の独占度および賃金構造の基準値を確定させることは、本科研費課題の完遂において不可欠なプロセスである。 |
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| 備考 |
統計若しくは統計的研究の成果又はその概要等
| 調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 |
風神 佐知子 |
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| 提供した調査票情報に係る統計調査の名称 |
就業構造基本調査 |
| 統計又は統計的研究の成果等のタイトル等 | 労働市場の独占度と賃金水準 |
| 提出された統計若しくは統計的研究の成果又はその概要 | 規模間賃金差の要因として、労働者の能力差や、生産性の差、離職率の差などが論じられてきた。本分析では、それらを踏まえてもなお見過ごせないモノプソニー(monopsony)、すなわち、個々の企業に対する労働供給が完全には弾力的ではない状態に着目した。企業は右上がりの供給曲線に直面していると、完全競争市場下のように一定の均衡賃金で労働者を任意の量だけ雇えるわけではなく、規模を大きくするには高い賃金を支払う必要があり、これが規模間賃金差を生む。モノプソニーは、労働市場の摩擦や労働者の特異性により生じる。そこで、日本でも企業は右上がりの労働供給曲線に直面しているのか、その傾きは企業規模により異なるのかを分析した。2017年と2022年の就業構造基本調査を使い、モノプソニー・パワーを層化Coxハザードモデルで離職弾力性を推計することで明らかにした。さらに、理論的には自明だが、実際にモノプソニー・パワーが賃金を低下させているのかを検証した。その結果、中小企業の離職弾力性の方が大企業のそれより小さい、すなわち、モノプソニー・パワーは大きいことが明らかになった。また、2022年の方がどちらの規模でもモノプソニー・パワーは強まっていた。また、モノプソニー・パワーは賃金を低下させていた。モノプソニー・パワーが大きいことが、労働者の属性や地理的制約に関するものであるならば、スキルや労働者が移動を伴わない就業機会の拡充策が有効であろう。 |
| 上記統計の作成又は統計的研究を行うに当たって利用した調査票情報に係る統計調査の名称、年次、当該調査票情報の地域の範囲その他の当該調査票情報を特定するために必要な事項 | (統計調査の名称)就業構造基本調査、(年次)2017年、2022年、(地域)全国、(統計的研究に利用した調査票情報)男女の別等 |
| 上記統計の作成の方法又は統計的研究の方法を確認するために特に必要と認める事項 | 特になし |
| 学術雑誌等の名称及び掲載年月日 |