管理番号:10045020200074

府省:厚生労働省

提供状況

2021-02-03 調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 別府 志海
林 玲子
石井 太
篠原 恵美子
調査票情報の提供を受けた者(個人に限る。)の職業、所属その他の当該者に関する事項 国立社会保障・人口問題研究所 情報調査分析部第2室 室長
国立社会保障・人口問題研究所 副所長
慶應義塾大学 教授
東京大学大学院 医学系研究科 医療AI開発学講座 特任助教
提供した調査票情報に係る統計調査の名称 人口動態調査
調査票情報の利用目的  厚生労働科学研究費補助金(政策科学総合研究事業(統計情報総合研究事業))「人口の健康・疾病構造の変化にともなう複合死因の分析手法の開発とその妥当性の評価のための研究」の一環として、死亡診断書に記載の各死因を標準病名化/コード化し、原死因および各死因間の関連を分析するため、人口動態調査を利用した分析を行う。
備考

統計若しくは統計的研究の成果又はその概要等

調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 別府 志海
林 玲子
石井 太
篠原 恵美子
提供した調査票情報に係る統計調査の名称 人口動態調査
統計又は統計的研究の成果等のタイトル等 人口の健康・疾病構造の変化にともなう複合死因の分析手法の開発とその妥当性の評価のための研究
提出された統計若しくは統計的研究の成果又はその概要 本研究は、原死因を決定する以前の死亡個票データを用いることにより、死因間の関連を分析し、長寿化を進展する要因を死因構造から分析するものである。これらの情報は、従来は原死因を特定するためにのみ用いられていた。統計法に基づき人口動態統計の死亡票および死亡個票について利用可能な全期間にあたる2003~2021年分の提供を受けた。死亡個票データはテキストデータかつデータのクリーニング等がされていないため、死因データはICD-10対応標準病名マスターで定義されている病名交換用コードおよびICD-10コードに、また死因別の期間欄は日数に変換した。
死亡個票データを死亡票とマッチングさせたところ、コード化された死因が2つ以上ある死亡の割合は5割ほどであり、したがって死亡全体の約半数について何らかの複合死因分析が可能と示された。
原死因と複合死因について隣接行列を作成した結果、原死因別に見た複合死因と、複合死因間の隣接行列は、それぞれ異なる関係性が示された。また、近年は老衰による死亡が増加しているが、本来の死因が隠されている可能性も否定できない。真の老衰があることをきちんと示せるような、また老衰死の状況を適切に死因統計で把握できるような死亡診断書の記載方法を検討する必要があるのではないだろうか。
糖尿病は、死因欄のⅠ欄アに記載されるケースは少なく、過半数においてⅡ欄に記載され、次いでⅠ欄イに記載があった。ただし、Ⅱ欄に記載された場合の原死因が糖尿病である割合は近年上昇しているものの2021年でも2割弱であり、多くの場合は原死因を用いた死因統計に現れない。しかしながら糖尿病は腎臓疾患や循環器系疾患を併発することが知られており、既存の情報を活用するという観点からも、複合死因を用いた分析は重要であると考えられる。
COVID-19による死亡データはその多くが直接死因であるⅠ欄アに記載されていた。その約半数にはⅡ欄に何らかの疾病が記載されており、中でも糖尿病は同時に慢性腎不全や高血圧、慢性心不全などが併記されていることが多かった。
SRMUをわが国の複合死因データに適用し、2003〜2021年における年次推移を15死因による死因グループで観察すると、どの死因でも概ねSRMUは減少する傾向が観察された。ただし、ICDが変更となった2017年についてはいくつかの死因で傾向に不連続性が発生していた。CDAIを求めた結果、原死因と複合死因の間の関係の強さが定量的に示された一方、その関係性は年次によっても変化するため、継続的な観察を行うことの重要性も明らかとなった。ネットワーク分析を行った結果、死因によって変化の動向に相違が観察された。またコミュニティ分類の結果について2021年で見ると、分類されるコミュニティ数はアルゴリズムや年次によっても大きく異なることが観察された。
原死因以外の死因情報が得られるデータはこの死亡個票データ以外には存在せず、本研究が分析手法の一例を提示することによって未利用の死亡診断書データ、複合死因情報に関する利用・分析の促進が望まれる。また、近く死因分類がICD-10からICD-11へと変更される予定である。この変更によって死因分類のみならず選択方法も代わるために前後の年次で不連続となる。他方、死亡診断書のデータから分析を行う場合には死因選択方法の変更による影響を受けず、時系列比較を行う際には死因構造および死因間の関連変化について、より適切な情報を提供できる可能性がある。
上記統計の作成又は統計的研究を行うに当たって利用した調査票情報に係る統計調査の名称、年次、当該調査票情報の地域の範囲その他の当該調査票情報を特定するために必要な事項 (調査名) 人口動態調査
(年次)  平成15~令和3年
(地域)  全国
(統計的研究に利用した調査票情報) 性別、出生年月日、死亡年月日、原死因、外因符号、死亡の原因、死亡までの期間
上記統計の作成の方法又は統計的研究の方法を確認するために特に必要と認める事項 死亡個票データはテキストデータかつデータのクリーニング等がされていないため、死因データはICD-10対応標準病名マスターで定義されている病名交換用コードおよびICD-10コードに、また死因別の期間欄は日数に変換した上で死亡個票データを死亡票とマッチングさせ、分析を行った。
学術雑誌等の名称及び掲載年月日 新型コロナウイルス感染症による死亡動向と複合死因分析『人口問題研究』
http://doi.org/10.50870/00000435

成果等

老衰死の統計分析
複合死因データに関する分析手法とその応用