管理番号:10055020190007

府省:経済産業省

提供状況

2019-09-04 調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 鷲津 明由
中野 諭
調査票情報の提供を受けた者(個人に限る。)の職業、所属その他の当該者に関する事項 早稲田大学スマート社会技術融合研究機構(ACROSS) 次世代科学技術経済分析研究所 教授
早稲田大学 スマート社会技術融合研究機構(ACROSS) 次世代科学技術経済分析研究所 招聘研究員(労働政策研究・研修機構 副主任研究員)
提供した調査票情報に係る統計調査の名称 経済産業省企業活動基本調査
調査票情報の利用目的 科学研究費助成金に採用された研究課題「多国籍企業によるサプライチェーンの貿易投資政策への影響:国際政治経済学アプロ ーチ」(課題番号 17K03707) を遂行するため、 海外事業活動基本調査の個別データを利用しての分析を行う。
備考 旧管理番号:11819007

統計若しくは統計的研究の成果又はその概要等

調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 鷲津 明由
中野 諭
提供した調査票情報に係る統計調査の名称 経済産業省企業活動基本調査
統計又は統計的研究の成果等のタイトル等
提出された統計若しくは統計的研究の成果又はその概要 ■スマート社会がもたらす経済・環境効果の産業連関分析に向けて:企業活動基本調査を用いた分析
(1) 各産業の本体活動とマネジメント活動の案分比率推定のため,企業内でマネジメント業務に従事する従業者比率を計算し,産業別の平均値を推定した。
(2) サービス部門の技術特性を確認し,規模効果の有無を確認するために,コブ=ダグラス型と尾崎型生産関数の計測を行った。
産業部門別に企業内マネジメント業務に従事する従業者構成比の推移をみると,全ての産業で情報業務に係る従業員が増えたわけではなく,全産業を支える基礎的な IT 産業のみで基礎情報サービス業務に係る従業員比率が増大していた。他の産業は,補助サービスや1次情報サービスの購入を通じて間接的に情報業務従事者への依存度を増やすという形で「情報化」が進行したと解釈できる。また,情報関連の資本比率,投資比率,経常経費比率の推移を見ると,情報化は情報インフラを支える部門での研究開発投資と,情報提供型産業での資本コストを抑制しながらの人員の拡充によって進行し,情報活用型産業では,情報化投資と情報関連の経常費用をわずかに増やしながら,情報インフラ産業や情報提供型産業のもたらす効果を利用していると考えられた。
 生産関数の計測結果についてまとめると,現代の企業活動基本調査を用いた計測結果によれば,尾崎(2004)による高度経済成長期の研究とは異なり,サービス産業部門でもおおむね尾崎型生産関数の当てはまりの方が良好である。1次・2次情報サービス部門では労働に関して中程度の,資本に関しては低めの規模の経済性が確認されたので,これらの産業では規模拡大による生産費用削減は現状でも見込まれる。情報通信分野の規制改革,情報プラットフォームの形成などの技術変化が,この効果を補強していくかどうかついて,引き続きの研究が必要である。コブ=ダグラス型生産関数の計測結果から,1次・2次情報サービス部門の労働分配率が比較的に高かった。また1次情報サービス(基礎的情報提供型)部門では労働分配率が相対的に高く,一般サービス(基礎的情報活用型)部門は資本分配率が高かった。前者ではコンピュータ機器の価格低下を効率性改善の原動力とし,後者では低廉化したコンピュータ機器をより活用することとで効率性改善をしていると考察された。
■マネジメントの高度化がエネルギー消費にもたらす効果の実証分析:鉄鋼産業を事例として
近年はスマート化が進展し,産業界におけるエネルギーマネジメントなどのマネジメントが高度化しているという認識のもと,それに伴い,エネルギー利用の効率化が実際に進展してきたのかを,公的ミクロデータの分析に基づいて,鉄鋼部門における事業所の生産物は,他の産業部門に比べて比較的均一であると考え,鉄鋼部門に着目して検証した。本社の情報通信事業部門従業者比率の上昇は,おおむねエネルギー利用の KPI の向上に有意な効果を持つと結論付けられそうである。本社の情報通信事業部門従業者比率が,本研究における仮説通り,現場のエネルギーマネジメント活動と正の相関を持つとすれば,エネルギーマネジメントの向上がエネルギー利用の KPI の向上の役立つとの推論が可能である。
上記統計の作成又は統計的研究を行うに当たって利用した調査票情報に係る統計調査の名称、年次、当該調査票情報の地域の範囲その他の当該調査票情報を特定するために必要な事項 調査名: 経済産業省企業活動基本調査
年 次:平成16年から2019年まで
地 域:全国
上記統計の作成の方法又は統計的研究の方法を確認するために特に必要と認める事項
学術雑誌等の名称及び掲載年月日

成果等

早稲田大学・先端社会科学研究所・ワーキングペーパー
■令和2年(2021年)1月
鷲津明由,中野諭『スマート社会がもたらす経済・環境効果の産業連関分析に向けて:企業活動基本調査を用いた分析』,早稲田大学 先端社会科学研究所ワーキングペーパー,2021, IASS WP 2020-J004,1-27,
https://www.waseda.jp/fsss/iass/assets/uploads/2021/01/washizu_nakano_-2020_J004.pdf
■令和4年(2022年)6月
鷲津明由,中野諭『マネジメントの高度化がエネルギー消費にもたらす効果の実証分析:鉄鋼産業を事例として』,早稲田大学 先端社会科学研究所ワーキングペーパー,2022, IASS WP 2022-J003,1-20,
https://www.waseda.jp/fsss/iass/assets/uploads/2022/06/washizunakano_2022-J003.pdf