管理番号:20020020190003

府省:総務省

提供状況

2020-01-22 調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 澤田 真行
調査票情報の提供を受けた者(個人に限る。)の職業、所属その他の当該者に関する事項 一橋大学 経済研究所 講師
提供した調査票情報に係る統計調査の名称 就業構造基本調査
調査票情報の利用目的 「定年制度の変更に伴う、夫婦の引退行動に関する調査」
備考 旧管理番号:23019004

統計若しくは統計的研究の成果又はその概要等

調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称 澤田 真行
提供した調査票情報に係る統計調査の名称 就業構造基本調査
統計又は統計的研究の成果等のタイトル等 夫婦の退職決定の補完性:法定退職年齢引き上げによる効果を用いた検証
提出された統計若しくは統計的研究の成果又はその概要 本研究では以下の分析を行った:

【分析1】定年が60歳であった1945年生まれの男性を配偶者としている女性と、定年が63歳まで延長された1946年生まれの男性を配偶者としている女性を比べたときに、配偶者が60歳を過ぎた時点での就業状態の変化が異なるかどうかを回帰分析により確認する。

【分析2】定年が60歳であった1945年生まれの男性を配偶者としているか1946年生まれの男性を配偶者としているかを配偶者男性の就労状態への操作変数とし、夫が就労を継続することの妻への影響を操作変数法により確認する。

【分析3】夫婦年齢差、妻の学歴、子供との同居で標本を分割し、分析1を回帰分析で確認する。

【分析4】夫の年齢を時間としたパネルデータを、分析1の効果を固定効果回帰により確認する。

【分析5】定年年金政策が変化していないであろう1943/44年生まれ、1946/47生まれの男性の比較で就業状態に変化がないことを回帰分析で確認する。合わせて、45/46年生まれの男性についても59歳時点で効果が発生していないことを回帰分析で確認する。

分析の結果、以下のような結論を得た。

1. 定年延長政策がアナウンスされる直前において就労を継続している夫婦について、定年が延長された男性を配偶者としている女性の方が、就労を継続している確率が有意に高いことがわかった。
2. 操作変数法推定により、夫と妻の就労における相互関係の度合いが正かつ十分に大きいことがわかったものの、精度の高い推定値は得られなかった。
3. 子どもと同居している家計および、妻の教育水準が高卒以下の家計にのみ効果があらわれていることが明らかとなったが、夫婦の年齢差における異質性などについては明確な効果が得られず、今後の課題となった。
4. 固定効果分析においても、政策に変化がない集団におけるプラセボ分析においても、1.にあげた結果の頑健性が示された。
上記統計の作成又は統計的研究を行うに当たって利用した調査票情報に係る統計調査の名称、年次、当該調査票情報の地域の範囲その他の当該調査票情報を特定するために必要な事項 (調査名) 就業構造基本調査
(年次)  平成19年、24年、27年
(地域)  全国
(統計的研究に利用した調査票情報) -
上記統計の作成の方法又は統計的研究の方法を確認するために特に必要と認める事項 定年延長制度の対象世代前後の夫を含む高齢夫婦に標本を限定し、妻の就労状態変数に対して政策変数ダミーの効果を操作変数回帰および固定効果回帰を行い推定した。
学術雑誌等の名称及び掲載年月日 大阪大学社会経済研究所 ディスカッションペーパー No. 1142 掲載時期:令和3年9月

成果等

「英語タイトル:Complementarity in Couples’ Retirement Decision: The Effect of Mandatory Retirement Age Extension」

「夫婦の退職決定の補完性:法定退職年齢引き上げによる効果を用いた検証」 大阪大学社会経済研究所ディスカッションペーパーNo.1142.pdf(1.3 MB)