事例1 文化活動全体の市場規模
の把握を実現

勝浦氏 顔写真

名城大学 教授

勝浦 正樹 氏

活用した公的統計:社会生活基本調査

文化統計の作成を目的にオンサイト施設を利用

 文化庁からの委託研究として、令和4年度から令和5年度にかけて「文化統計の体系化に関する調査・研究」を実施しました。この研究は、日本の文化統計を体系的に収集し、多面的に分析することを目的としています。公表されているデータでは、個別の文化的活動への参加人数を把握することができますが、市場規模を分析するためには、何らかの文化的活動に参加する人口の合計(文化人口)を把握することが必要でした。
 そこで、オンサイト利用により社会生活基本調査のミクロデータを用いて新たな文化統計を作成し、いずれかの文化的活動への参加状況を明らかにすることを目指しました。

文化の市場規模の定量化を実現

 オンサイト利用を通して、文化の市場規模を表す文化人口を推計することができました。また、文化政策を評価する指標として、文化人口が有用であることを示しました。
 さらに、2021年の社会生活基本調査のミクロデータを活用することで、新型コロナウイルス感染症による影響を分析することができました。年齢や性別等の属性別に見ると、特に高齢者や女性が大きな影響を受けていることが分かりました。

文化活動に参加する人口の推移

文化活動への参加状況の推移について、公的統計に基づいて集計を実施

オンサイト利用による新発見や洞察の獲得に期待

 オンサイト利用により、公的統計のミクロデータを活用した精度の高い統計的分析が可能となります。データの構造をチェックしつつ、符号表や公表結果などと突き合わせながら試行錯誤して集計することが大変でした。オンサイト利用は敷居が高いというイメージがあるかもしれませんが、慣れてくるとスムーズに分析を行うことができますので、一度利用してみることをお勧めします。特に、公表されている集計データでは把握できない、複数の文化活動に参加している人口や、属性別の分析が行えることが大きな利点でした。今後もオンサイト施設を活用し、様々な集計を試みることで、新たな発見や洞察を得ることが期待されます。

【活用事例】

文化庁と大学・研究機関等との共同研究事業「文化統計の体系化に関する調査・研究」
報告書(令和4年度・令和5年度)

【研究キーワード】

文化統計、市場規模、政策評価

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