オンサイト利用に着目した背景
都市経済学・空間経済学における最重要テーマの一つが都市の魅力の源泉は何かというもので、その要素の一つに「学習(Learning)」があります。これまで公表されているデータは、入手可能な情報が限られており、賃金データなどを用いて都市と学習の関係を間接的に分析していました。
政府統計データで、分析に使えるデータがないか、定期的に各統計調査の調査票を確認※していたところ、社会生活基本調査において学習の頻度や目的などのデータが詳細に調査されていることを発見しました。これは、国際的にも非常に貴重なデータであり、これまで注目されていなかったものです。
オンサイトを利用すれば、ミクロデータを用いて、各労働者の属性と性別、年齢別などの様々な項目を組み合わせるといった自由な分析が行えるため、実際に使ってみたら都市と学習の関係に関する研究に生きるのではないかと考えました。
※政府統計の総合窓口e-Statやミクロデータ利用ポータルサイト(miripo)を活用
オンサイト利用を通して得られた成果
オンサイト利用により、集計データでは見られない、人口密度ごとや男女、年齢層の属性別の詳細なデータを見ることができ、都市と学習の関係を多角的に把握できるようになりました。
分析の結果、都市では人々がより人的資本投資を行っている可能性が示唆されました。また、都市では新たな仕事に就くために学習する割合が高いという結果が得られました。
自由な集計・分析が出来る

試行錯誤により、当初想定していなかった発見の可能性がある
オンサイト利用による探索的な研究のススメ
オンサイト利用では、様々な角度の切り口から独自にコードを記述し、分析することが可能なため、当初は想定していなかったような探索的な研究が可能です。データを見ている中で、時間利用に関する項目にも学習の変数があることに気づき、分析においてどこに力点を置くべきかについても、データを見ることで認識することができました。そういった観点から、磁気媒体より自由度が高く、また、セキュリティが確保された環境で分析を行うことができる点も、オンサイト施設ならではの魅力だと感じました。
【活用事例】
応用地域学会2022年度大会 Off-the-Job Learning in Cities
【研究キーワード】
職場外学習、集積の経済、比較優位、人的資本